年詞会 記念講演 (株)壱番屋 創業者 宗次 德二氏

鵜川 秀樹
株式会社ロハスネット 代表取締役社長
《 ロハス村を始めた理由と将来の夢を語る》
【放送】 6月 7日 6月 8日 6月 9日  6月 10日  6月 11日

2014年01月25日

年詞会 記念講演 (株)壱番屋 創業者 宗次 德二氏


いよいよ本日は、香川県中小企業家同友会 主催の--------
2014 年詞会 記念講演 (株)壱番屋 創業者 宗次 德二氏 がございます。
お聞きいただく前に少し予習をしておきましょう。

【宗次 德二、その凄まじき起業人生】

 宗次德二の幼いころの記憶は、岡山県で養父母に手を引かれながら歩いていたところからはじまる。宗次には両親がいなかった。幼少期は孤児院で育った。そして3歳の時に、宗次姓の養父母に引き取られた。しかし、その養父母との生活は極貧だった。宗次は、幼いながらも「誰にも頼らずに、一人で生きていかなければ」と思ったと言う。小さい頃から潜在的に反骨精神が培われていったのだ。

 その後、公立高校の商業科に入学。そして高校を無事に卒業。宗次は、不動産関係の会社に就職した。それからまもなく現在の妻と知り合う。そして、結婚。結婚を機に独立を考えていた宗次は、マイホームを建て、その一階を事務所にして不動産仲介業をはじめた。その不動産仲介業は、食うには困らないほどの収入はあったが、毎日汗水たらして働くという仕事ではなかった。これといった目標もなく、ぐうたらしていることに疑問を感じた宗次は、何か日銭の入ってくる商売をやろうと決意。

 そこで考えたのが喫茶店だった。名古屋市内に店舗物件を見つけ、昭和49年に、喫茶店「バッカス」をオープン。開店にあたり、「モノや値段のサービスよりも、真心のサービスをしていこう」と、接客重視の営業方針を打ち立てた。それが功を奏し、バッカスは大繁盛。そして宗次は、近くに二号店である喫茶店「浮野亭」をオープンさせる。「浮野亭」は最初こそ不振だったものの、次第に軌道に乗っていった。

 さらに、より売上を伸ばすために出前のサービスも始めた。そのためにはライスメニューが必要だと考えた宗次は、カレーライスをメニューに加える。すると、そのカレーライスが爆発的な人気を博す。そして、三号店はカレー専門店にしようと宗次は考える。

 昭和53年、ついにカレー専門店「CoCo壱番屋」の一号店をオープン。しかし、開店二日目までは繁盛していた店も、次第に客足が遠のいていく。それでも宗次は、従業員を励ましながら品質の向上や真心の接客を徹底。すると、ある日、突然お客さんが戻ってきた。こうして、何とか軌道に乗った「CoCo壱番屋」は、その後も順調に店舗をオープンさせ、現在では世界中に1000店舗以上を構える大企業に成長。一杯のカレーライスに人生の全てをかけ、見事に「日本のカレー王」になった宗次德二。その宗次に直撃してみた。


【インタビュー前編】 成功する起業家は、みんな誠実で謙虚

―まず、商売人に必要な心構えって、何ですか?

 何よりもまず、「お客様第一主義」ですね。自分たちのことは二の次で、お客様に身を捧げる。私は、現役の経営者だった時(2002年5月31日をもって現役引退)は、社外の交友関係などは一切広げずに、常にお客様のことだけを考え続けていました。自分に期待してくれる人に少しでもお返しをしたい。だから時間も体力も無駄遣いしたくなかったんです。

 経営者の中にはちょっと成功すると、初心を忘れて、社外の交友関係に目がいってパーティーにばかり参加したり、派手に遊んだりする人もいます。でも、そんな経営者は長くは続きません。本業のこと以外に気を取られてはいけないんです。お客様や取引先、そして社員のことを常に考えなければいけません。

 やはり、商売の基本というのは、コツコツと地道に地に足を付けて一生懸命にお客様のために頑張ることだと思いますね。そうすれば、急激な成長はしなくても、5年、10年のスパンで見れば、ずっと右肩上がりが続くんです。

 また、ライバル業者などの同業者に気を取られすぎるのも良くない。ライバル会社がこうしたから、自分の会社もこうする。そんな信念の無い経営をしていてはダメです。


―最近、若いITベンチャー起業家が多いですが、宗次さんはどのように思いますか?

 最近の若い人たちは幸せだと思います。いまの日本は昔に比べてチャンスが溢れている環境です。だから、そのチャンスを活かして、失敗してもいいから何でもチャレンジするべきです。やはり失敗しないと“本質”は見えないと思います。失敗していない人は、上辺のことしか見えないんです。

 情熱を持って諦めずにやり続ければ、必ず結果がついてきます。やり続ける中で、社会から評価されることはそのまま継続する。失敗したことは教訓として活かす。この姿勢が大事ですね。

 若いうちはさんざん苦労したらいいと思います。苦労は経験という宝になります。私も若い頃に“お金”と“人材”でたいへん苦労しましたが、その苦労が後の人生の大きな糧となりましたから。


―成功する起業家の共通点って何だと思いますか?

 やはり「誠実さ」ということだと思います。誠実な人でないと、部下も信頼して付いていかないでしょう。打算や利害だけで人と付き合う人はダメです。経営者は、心と心の関係を築かないといけません。社員との関係も心と心。お客様との関係も心と心。打算や、自分中心の考え方では絶対にダメです。

 他には、「謙虚さ」ですね。謙虚な心を常に忘れない。これが大事です。


―宗次さんは、自分が儲けたいなどの気持ちはなかったんですか?

 はっきり言って、全く無かったです。ずっと無かった。儲けたい、成功したい、という気持ちはありませんでした。ただ人に喜んでもらいたかったんです。


―どうして、そんなに欲がないんですか?

 私は小さいころに徹底して鍛えられたんですよ。雑草を食べて育ちましたから。15歳まで誰からも見向きもされなかったんです。本当に孤独な15年間でした。でも、その15年間で、私は徹底的に鍛え上げられたんです。

 私は両親の顔を知りません。親がいなくて、孤児院で育ったんです。そして3歳の時に、宗次姓の養父母に引き取られました。でも、その養父がすごく荒れた性格でした。数百円でもあれば、それをギャンブルに使う性格。パチンコに行く毎日でした。私は掃除をしていないだけで、殴られたりもしました。すごく暴力を振るう人でした。時には荒れて、隣近所に包丁を持って暴れることもありました。そんな養父に愛想をつかして、養母は家を出ました。

 そして残された私は養父と二人暮しをしました。まさに電気もなく、ろうそくの生活でしたよ。千円札なんて見たこともなかったです。自宅も家賃が払えずに追い出されるので、半年で転々とする生活でした。そんな生活を送りながら、「将来は誰にも頼らずに一人で生きていかなければ」と強く思いました。

 学校から弁当を持ってくるように言われた時は、貧乏で弁当を持っていくことができずに、みんなが昼ごはんを食べ終わるまで、校舎の裏で一人じっと待っていることもありました。また家庭訪問も断った。4畳半の貧乏生活を学校の先生に見られるのが嫌だったんです。当時は食べたいものが満足に食べられませんでした。ごちそうといえば、煮干だったんです。そんな信じられないような生活が15歳まで続きました。

 すごく孤独な人生でした。だから少しでも他人から関心を持ってもらいたかった。興味を持ってもらいたかったんです。それが私の原点になっています。だから、商売を始めて、お金を儲けるというよりも、人に喜んでもらいたかったんです。少しでも自分がいて良かったと言ってもらいたかった。


初志貫徹

―その生活を抜け出すきっかけは何だったんですか?

 高校に入学して、同級生の家でアルバイトをさせてもらったんです。ちょうど私の同級生が豆腐屋の息子だったんです。そこで早朝にアルバイトをさせてもらいました。毎朝その豆腐屋でアルバイトをさせてもらって学校に通いました。そのお金で高校の学費も払うことができました。もともとお金がなかったので、高校進学は諦めていたんですが、担当の先生に強く勧められて試験だけ受けてみたんですね。学費も自分で稼げるようになったので、何とか無事に高校は卒業できました。

 また、初めて自分でお金を稼いで、本当に嬉しかった。それまでは食べたいものが満足に食べられない生活だったので、お金を稼いで少しは生活も楽になったんです。


―ようやくドン底の生活から抜け出すことができたんですね。

 そうですね。またちょうどその頃に、養父も亡くなりました。ほとんど栄養失調に近い状態で亡くなりました。死因はいちおう胃ガンだったんですが。

 でも、そんな荒れた養父でも、私は大好きだったんですよ。暴力も振るわれましたが、私は大好きだった。職業安定所から年末に一時金として、少しだけお金をもらえたことがありました。その時に、そのお金で養父がリンゴを2つ買ってくれました。それくらいしか思い出らしい思い出はないんですが、その時の嬉しい気持ちは今でも覚えていますね。


―でも、そんな少年時代を過ごして、よくグレなかったですね。

 勇気がなかっただけだと思います。気が小さかったんですよ。単に。


―話は変わりますが、最近の若い人たちは夢が持てないという人が多いです。どうやったら、夢や大志が抱けるんでしょうか?

 大きな夢や目標など持たなくていいんです。まずは目の前にある目標を達成していく。たとえばウェイトレスをしているなら、誰よりも早くお店に行くとか、誰よりもお皿を綺麗に洗うとか。誰よりも努力してみる。私もサラリーマン時代は、誰よりも早く会社に出勤しました。

 急には上には行けないものです。地道にコツコツと目標の底上げをしていけばいいんです。その継続の中で、大きなことが成し遂げられると思います。だから、今日一日を頑張ることです。私の場合は、大きな目標などは必要ないと思っています。小さい目標を達成して、それを継続する。それが全てだと思います。

 また、何でもいいから人から認めてもらうことですね。掃除でも何でもいいんです。そうすれば自分に自信がつきます。そこでも大事なのは、継続することなんです。意外に継続することは難しいんですよ。器用な人ほど、最初はうまくやるけど、継続はしない。勢いのある人もそうです。最初は勢いがあって、うまくいっても継続は難しい。だから、不器用でもいい。コツコツと地道に継続して、人から認めてもらう。その連続が素晴らしい結果を生み出しますから。


―宗次さんの座右の銘って何ですか?

 「感謝」です。特に経営者は感謝の気持ちを常に持ち続けることです。経営なんて自分一人では何もできません。お客様、取引先、そして社員の方たちに常に感謝の気持ちを持ち続ける。私の場合は、苦労した生い立ちがあるので、自然と人に対する感謝の気持ちを持ち続けることができました。その感謝の気持ちを持ち続けて、引退までやってこれました。これは本当に幸せでした。

 また、経営者にとって、お客様は最高の先生です。お客様からのクレームはファンレターです。私は現役の経営者の時、毎日欠かさず3時間半の時間を費やして、お客様からのアンケートハガキを読んでいました。その内容が厳しければ厳しいほど、本当に役立ちました。

 経営者の時の睡眠時間は、3,4時間程度でした。睡眠時間を削っても、お客様の声を聞くのを優先したかった。経営者は、楽しいことは社員と分かち合い、厳しいことは自分が引き受ける覚悟がなくてはいけません。


―最後に読者にメッセージをお願いします。

 やはり「初志貫徹」ですね。初心を忘れずに、やり続ける。一時の成功よりも、継続することの方が大事なんです。どんなに失敗してもめげずに続けていく。その情熱が大事です。みなさんも地道にコツコツと頑張ってください。焦らないでいいと思います。

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2014 年詞会 記念講演 (株)壱番屋 創業者 宗次 德二氏

開始日時: 2014年1月25日(土曜日) 18時 00分 ~ 21時 30分
場 所: 高松国際ホテル
テ ー マ: 「宗次流 7つの経営術」~日本一の変人経営者~
報 告 者: 株式会社 壱番屋  創業者特別顧問  宗次 德二 氏 
参 加 費: 3,000円(懇親会費含む) 

お申込みは、香川県中小企業家同友会 TEL:087-869-3770まで
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Posted by ほんもん at 13:39│Comments(0)
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